以前、新聞に載っていた島本理生さんの文章を読んで
「いいな、いいなこのひと」と強く感じ、島本理生を読みたいと思っていた。確か高校から大学に入る頃までのことが、その時の感情、その時の風景、その場が、鮮明に描かれていた。 (島本さん若いから近い過去ね) 高校に通う時の川の風景が描かれていて、「ナラタージュ」の 冒頭の「水辺の近くが好き」と重なった。 主人公・泉は、大学生。高校の時の演劇部の顧問、葉山先生のことが好きだった。 部員が3人しかいない演劇部を手伝って欲しいと、葉山先生に頼まれ先生と再会する。 泉は葉山先生を痛烈に好きだったのに、淡々と回想する。 淡々とした文章なのに、風景描写が多くて、始めのうちは読み難かった。 しかし、中盤からは一気だった。 泉は演劇部の友人の友人の小野君と付き合うことにする。 小野君に切望されたし、泉も小野君と一緒にいると楽しいと感じたからだ。 でも・・・上手くいかなかった。 あんなに、優しくって誠実な小野君だったが、泉の気持ちを量ることは出来ない。 自分はこんなに一生懸命なのに、あの先生の方が大事なのかと・・・ 葉山先生はずるい。先生も泉のことが好きで、必要としているのに、 「あなたが困っていたら助けたい」という泉に対し甘えすぎだ。 泉は先生が好き、先生も泉が好き。でも、先生はワケあり。泉は他の人と付き合うが 上手くはいかない。お互いに気持ちは通じ合っているのに別れる。 切ない、ありがちな恋愛物語だ。が、こんなに心が揺さぶられるのはなぜだろう。 そこが作者の上手さなんだろう。恋愛ものは、自分自身とシンクロしがちだから 感情は入りやすい。自分にとっての葉山先生は誰か、 本を閉じた後、回想するでしょう。(みなさん)
by nonki27
| 2007-02-03 16:18
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