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「繋がれた明日」真保裕一
「繋がれた明日」真保裕一 _c0045523_22222721.jpg一瞬を境に、人生が変わった。
19歳の時、中道隆太は殺人を犯してしまう。
6年間塀の中にいた。保護司の大室と面接を重ね仮釈放された。
大室は隆太に細やかな配慮をし、アドバイスする。
仕事の世話もしてくれ、工務店で見習として働くことができた。
アパートでの一人暮らし、仕事にも慣れ始めた矢先・・・





“この男は六年前に殺人を犯しています。・・・皆さん、充分ご注意を”
と書かれたビラをまかれる。

一体誰が・・・?

誰がこんなことをしたのか、仮釈放したことを知るのは誰か、隆太は昔の仲間を探す。
妹に被害が及び、妹の職場にも行く。
そんなことは危ない、余計なことはするな、返って妹はキズつくじゃないか・・・
仮釈放という微妙な立場だから、ハラハラしてしまった。
あんなに良くしてくれる保護司の大室さん、職場の人達、母親、みんなに心配をかけないでと思いながら読んでいった。

そもそも隆太の事件というのは、酒場でのいざこざ。
隆太の彼女に付きまとった男に、これ以上付きまとうなと脅したら、
挑発してきて、始めに手を出してきたのは向こうだった。
だけど隆太はナイフを持っていた。紙一重で被害者と殺人犯になった。
発端はその彼女なのだ。その彼女はもう別の人生を歩んでいる。複雑な心境だ。
六年という時間、彼女は彼女、殺したのは隆太なんだけど。
一瞬だ、一瞬で人生変わる、怖い。

相手の命を奪った、被害者にはすまないと思っている。
でも、手を出してきたのは向こうから、自分だけが悪いのではない。納得がいかない、その揺れる感情は抑えられない。
刑務所に入り罪を償った、それで許されるのか、世間はどう扱うのか。
犯罪者が普通に生活を送る、被害者の身内の心情を思うとやり直すことは許されるのか。
問うても問うても、答えは出るはずはない。
出来ることは、隆太は生き抜かなければならないと思った。
どんな事があっても。そうするしかない。

保護司の大室さん、工務店の社長さん、従業員の人達の温かさにラストは感涙でした。
by nonki27 | 2007-03-02 22:27 | よむ
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