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「死と生きる 獄中哲学対話」池田晶子/陸田真志
「死と生きる 獄中哲学対話」池田晶子/陸田真志_c0045523_16225032.jpg陸田真志は、殺人を犯し拘置所での生活で現実から逃れようと本を読んだ。片っ端から多くの本を読んだが、自分の心を満たすものとは出会えずにいた。新聞に載っていた池田晶子さんの短文を読み、「何か」わかったように感じ、池田晶子さんの本を読み自分を知り、罪を認めることができた。
 



編集部に送られてきた、陸田真志の手紙を読み嬉しいと思い、
ひとつの仕事を成すため協同作業をしようと「死刑囚」と「哲学者」の獄中往復書簡が始まる。

陸田真志一通目の手紙、陸田真志二通目の手紙・・・と読み進め
この人はこんなにも池田さんの考えを理解し、これほどの文章を書き
凄いなぁと思い読んでいったが、そのうちだんだんと嫌な気になっていった。
なぜかいい気はしない、何だかこの人、調子に乗ってきたなぁと・・
どこがどうとは言えないが、こちら側(読者)が微妙に感じるもの。
すると、池田さんはビシッといいます。「回を重ねるにつれ、少しずつレベルが落ちてきた」
それは、人にどう読まれるか気になり出した、と。
こういう本は、上からものを言っている、押し付けがましいと感じたりすることがよくあるが、池田さんの本を何冊か読んでもそういうことは感じられない。
何故か?≪私にとって最高の読者とは、真理を受けとめてくれる相手としての「神」であり、あるいは、より賢明である(だろう)数千年後の人類です。歴史上の偉人や哲人である場合もあります。文章を書くこと「いいほうに意識する」とは、つまりこういうことです。そして、そうやって書かれた言葉が、結果、同時代に同じ思いでいるどこかの「その人」に、届くことになるのです。≫
こういうことだった。相手に対しての意識が大きい。

また読み進めていくと、この人は後から自分のしたことを反省しているのだけれど
(遅いということ)これだけの考えを出来る人がなぜ?人を殺したのか。
金欲しさの計画的な犯行だと言うが、どうして殺人までしたのか。
そこを書いて欲しいと思ったら、
池田さんが「なぜ人は人を殺すのか、生な言葉で聞いてみたい。この仕事が出来るのは現在あなたしかいない」と書く。この往復書簡の流れで進んでいくやり取りが、こちらの(読者の)読み進め考えていく過程と一致して惹き込まれていく。

人には必ず死は訪れる。誰でも死ぬのだけれど「死」と「死刑」は違う。
逃げも隠れも出来ない「死刑囚」の生の言葉は特殊で貴重なのかも知れない。

≪「なぜ」存在するのか、「なぜ」それをしたのか、という問いは、じつは必ず一歩、遅れています。だから「とにかくまず」語り出してみること≫
言葉にすると遅れている。本能のまま、生の言葉とはどんな言葉なんだろう。
難しいな、「なぜ」の問いは考える時点で遅れ、言葉にすることでまた遅れる・・.難しい。

≪できることができることになるのは、できないことができることになる「瞬間」があるからです。観念が行為になる瞬間です。人はそのことを、意識せずに日々飛び越えているけれど、本当はここには、恐るべき深淵があるのです。≫
ここにも隠れた〝時〟があった。意識なんてしていない考えてもないことだった。
その〝瞬間〟とは何だろう・・・

と、今まで考えもしなかったことに、気づかされ自分なりに考える本なのです。
by nonki27 | 2007-08-25 16:20 | よむ
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