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「にぎやかな天地」宮本輝
「にぎやかな天地」宮本輝_c0045523_15425248.jpg「にぎやかな天地」宮本輝_c0045523_15431051.jpg主人公の船木聖司の仕事は、豪華限定本の編集・製作。
依頼者の希望に応じ限定本を作る。




松葉という老人から「日本の優れた発酵食品を後世に残すための本」を依頼された。
糠漬、納豆、くさや、味噌、醤油、・・・・鰹節も発酵食品だそうだ。

7年前、死に際に祖母が「ヒコイチ」と言い聖司の手を握った。
「ヒコイチ」・・・?その「死」と、
32年前に亡くなった聖司の父親の「死」が、徐々に明らかになっていく。
聖司が、長い間気になっている「死」と、発酵食品の取材の中で出会う、
伝統を守る職人、発酵食品の不思議な力とが、絡み合い物語を深いものにしていく。

肉眼では見えない、微生物、乳酸菌、酵母、そういうものが長い時間をかけ
あの美味しい味を作る。こくだとか旨味だとか、凄いな。
人間の目で見えてないものが長い時間をかけ、何か別な形で人の前に現れる。
その不思議は運命なのか。
毎月二万円を三十二年間払い続けた男。その人のことを憎むことは出来なく、
その人のことや運命や時間を思うだけで胸に沁みる。
時間というものは何かを変えるものなんだなぁ。

≪俺は、まだ三十二歳の青二才で、わからんことが多すぎる。人間というもの、人間社会というものについて、何かひとつこれさえわかればええ、あとは枝葉や、この急所さえわかれば、人間や社会というものの謎が解ける・・・。そういうものはないのかなァ≫

人間にとって最も悪いものは何か?と問う場面が何回か出てくるんだけど、
人間にとって不治の病とは、千一夜物語では、悪い性格と書かれているらしい。
そうだなぁ~と妙に感心してしまった。
悪い性格って?性格と心は同じもの?繋がっているのだろうかと、考えてしまった。
by nonki27 | 2008-02-24 15:42 | よむ
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