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「無理」奥田英朗
「無理」奥田英朗_c0045523_1032794.jpg「無理」奥田英朗_c0045523_1034220.jpg合併しただだっ広い架空の地方都市・ゆめの市が舞台。



バツイチ公務員・相原は生活保護受給者宅を訪問している。
高校生・史恵は、こんな退屈な田舎絶対に出てやると思っている。
裕也は暴走族あがりの訪問販売のセールスマン。
妙子は新興宗教にはまるスーパーの保安員。
市議会委員の山本順一は、住民のエゴにはうんざり、大きな仕事をしてみたい。

この5人の語りで物語が描かれている。
慎ましく、不安、疑問、問題を抱えながら何とかやっている人たち。
特別な人ではなく普通な人だ。

≪「世の中って、いつからこんなに厳しくなったのかねぇ。わたしらが若い頃は、もう少し呑気でいられたんじゃない」まったくそうだ。昔は大人でアルバイトなんてまずいなかった。≫

そうそう、大人でアルバイトなんて…考えられなかった。
ボーナスがあるのが当たり前だった。
今は若い人の就職が難しい、契約か派遣かどっかに潜り込めたらいいと。
どうにかこうにか保っていた生活が、ちょっとしたことで崩れていく。
猛スピードで壊れていく。

一生懸命やっているのだ、それなりに。
その行動、会話を滑稽にリアルに物語にするのが奥田ワールド。
誰でも持っている心の中にある鬱屈。そこを描くのが奥田作品


も~無理!無理!無理!どうすることもできない。


矛盾だらけのこの国。
訪問販売、新興宗教、引きこもり、生活保護の問題、介護問題…、この小説は
今の日本の縮図だ。
by nonki27 | 2012-12-02 10:01 | よむ
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