≪「彦四郎は、死んでいたのか」≫
筆頭国家老になり、国元に戻った勘一は、絶句した。 勘一と彦四郎は、竹馬の友だった。 勘一は貧しい下級武士、彦四郎は中士の二男。 父の死の出会いの日から、学問、剣術とお互いに高め合っていた。 彦四郎は藩校一の秀才で、学問も剣術も抜きに出ていた。 上士からも一目置かれ、明るい性格で、誰からも好かれ尊敬されていた。 しかし、彦四郎は勘一が上だと才能を買っていた。 この先の二人の行方を、大きく左右する重要な一揆が起きる。 百姓一揆を起こした百姓は、磔死罪、受け入れた町奉行は、切腹。 子や孫、将来のことを考え潔く覚悟を決め、行動を起こした百姓たちと町奉行様。 勘一、彦四郎の心を大きく動かした。 多くの田ができれば、飢えることがない、米が多く収穫できれば、国は富む。 ≪大坊潟干拓≫ 勘一は、壮大な夢を彦四郎に語る。下士でその夢を叶えることが出来ない、 勘一は、彦四郎にその夢を託すと。 彦四郎は、「オレには、オレの生き方がある」と、断るが…。 勘一は、破格の出世をしていく。 一方、彦四郎は上意打ちの際、背中に傷を負いそこから悲運に見舞われる。 お互い疎遠になっていく。 勘一は、思い返す。なぜ?彦四郎は傷を負ったのか。 あの時も、思い留まり命を助けられた、あの時もあの時も・・・。 そうだ、すべて彦四郎が影となり勘一を助けていた。 ≪大坊潟干拓≫見渡す限りの田圃が広がっていた、勘一は「彦四郎っ」と叫んだ。 切ない、どうして彦四郎は、ここまで自分を犠牲にして友の影になったのか。 お互いに協力して夢に向かうことは、出来なかったのか。 今の時代の私はそう考えるが、 生まれや身分が一生を決めるこの時代だから、影になったのだな。 〝侍〟の物語だ。 ≪「お前はいずれこの国にとってなくてはならぬ男になる。」≫ ≪「彦四郎ほどの男が命を懸けて守った男を、この手にかけることはできぬ」≫
by nonki27
| 2014-07-25 09:59
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