銀行で待ちの時、手にした『週刊新潮』。
パラパラ見て『人間自身』を読みハッとした。 歯切れの良いもの言い、この考え方、誰? 〝池田晶子〟知らなかった。 エッセイスト?すぐに検索した。哲学者・・、納得した。 私はその日まで、池田晶子さんを知らなかった。 それから・・・数ヶ月だ、新聞記事に愕然とした。 それから・・・数ヶ月後、はじめて読んだ〝池田晶子〟「魂を考える」。 ≪自分が自分であるところの“これ”、ある人がその人であるところの“それ”、それやこれやのことを、<魂>、と呼んでいるつもりだったのだが。≫ <それやこれや>のこと、それって一体なに? この自分を何かと考えた時、村上龍『イビサ』のあとがきを思い出すんだ。 ≪自分は何者か?などと問うてはいけない。自分の中に混乱そのものがあるから、ではなく、まったく何もないからだ。内部と外部という言い方はもう既に嘘なのだ。存在するのは関係性だけ、あとはすべてのっぺらぼうの表面だけだ。≫ これを読んだ時に、そうだなぁ他者との関係性だと。 相手によって立場によって、接し方は違ってくる。でもさ、それよりもっと深いところの自分、性格や気質・・、いや、違う「私とは何か」そこだ、この本はそこのところを問うている。 考えている。 ≪なぜ私はこの人間なのか≫ ≪なぜ<私>はこの人間をやっているのか≫ この不思議さを、どう捉えたらいいのだろう。 思い悩まれ、やがて癒されるべきものとしての<私>は「社会的な<私>」。 性格や帰属や来歴や、その他一切の属性とは無関係の<私>、したがって喪失のしようもな く常にここに在る<私>、これを「形而上な<私>」。 性格、気質というものを、生理学的体質の側から説明しようとする姿勢を拒否したとき「その人」を言い当てる最も生なもの。あるいは、「人物」の初期条件を<魂の体質>。 この不思議さを表現するべく、出てくる言葉にはなるほどと唸るばかりだ。 ≪環境を作り環境に作られるところの「人」、自身を形成してゆく真珠の粒の、その「核」に当たる部分は、形成以前に「自分であった」。私は自分で自分になった。なるべき自分に、自分でなった。≫ ≪とくに「教育」された覚えもない。しかし、気がついたら私はそのような感じ方であったし、また、そのようにしか感じられないのだった。なぜ、私は、そのようにしか感じられないのか。≫ ≪げんに私がこの人間である、このような感じ方をするこの人間である。ということを、明らかに知っているからである。≫ ≪与えられた仕事や与えられた境遇は、凡人から天才まで全て違うけれども、そんなことは、本当は、どっちでもいいことなのだ。与えられたそれらを、より善く生きようと努めること、結局はそれしか、われわれにはすることはないからである。≫ 「どうでもいい」と思う。ある時から「どうでもいい」という思いが 自分の奥に生まれた。それをどう説明して良いのか分からない。 諦めとか、絶望とかそういうことではない。この感じを。 よく大自然を前にして、自分がなぜこんなに小さい事にくよくよしていたのかとか、 自然の中にいると自分の小ささを感じるとか そんな事をいう人もいるけど、それと似ているようでちょっと違う。 この「どうでもいい」感は何か。 それが分かった。この本を読むと感じられる。 この自分、この私で、より善く生きるしかないのだ。
by nonki27
| 2007-08-13 21:47
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