歌って不思議ですね。その歌を聴いたら、すぐにあの時のあの気持が
甦ってくる。切なくて、涙が出そうになったり、その人を思い出したり。 ≪それぞれの人生の局面には、それぞれの歌の思い出があるはずだ。≫ この本のテーマは「人生における局面と音楽」。 森さんの人生における局面にあった歌のエッセイだが、 切なく叙情的なものだけではない。森さんならではの社会的視点と時代背景が書かれ興味深い。 世代的には下の世代で知らない歌や、洋楽は分からないが、その時代を感じることができた。 あがた森魚、小室等、岡林信康、高田渡、友部正人・・・ 「放送禁止歌」を書かれた森さんならではの“歌のエッセイ”なのです。 タブーに挑み続ける。今上天皇のドキュメンタリーを作るのが長年の夢だそうだ。 電波少年天皇版、直接会ってある質問をするという。そんな無茶なと、私などは思ってしまう。 (今上天皇・・って、知らなかったです、新聞やテレビでもこう言わないですよね。) ビデオ屋のBGMで流れてきたブルーハーツの「リンダリンダ」の歌詞には、 しばらく立ち尽くすほどの衝撃を受けた。 サザンの「勝手にシンドバット」はデビュー前のデモテープを聴いている。 このあたりの話は、時代的にも私にとってとても興味深かった。 「アポロ」では、受験生の娘さんがポルノグラフィティに夢中で、心配する親心と 娘さんからCDを借りて聴いたポルノグラフィティを書いている。 ポルノグラフィティは、コンスタントに売れ、いい曲を出していて、私の世代でも 顔と名前が一致するグループだ。でも、メンバーの一人が脱退し、 あれ・・・その人の顔が分からない・・ こんなに売れているのに、なぜ(脱退?)と気になっていた。 音楽性の方向が違ってきたとか、長くやっていると色々なことが起こるだろう。 ポルノグラフィティの売り出し方、戦略、バックにいたプロデューサー・・・森さんの推測で 書かれていたその理由に同感だ。自分たちはこれでいいのかとそういう葛藤は常にあって、 それを持ち続けていて良いのだと思う。 詞も曲も自分たちで作るシンガーソングライターでなければならない、なんてことはない。 自分自身で満足するだけではダメ、プロなんだから商業的にも売れなければならない。 別に、疑問を持ちながら悩んでやっていく事は、それはそれで良いと思う。 ≪思い悩むことがテーマであり、僕の定義するドキュメンタリーの作法だ。≫
by nonki27
| 2008-08-31 16:51
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