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「甲子園への遺言」門田 隆将
「甲子園への遺言」門田 隆将_c0045523_10103577.jpg伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯

高畠コーチが高校の教師になったことを、新聞記事で目にした。
それから・・・僅かだった。訃報を目にした。





高畠コーチは、野村監督と共にヤクルトに来た。ヤクルトは殆ど内部のコーチ人事だ。
野村監督が連れて来た、たった一人のコーチだ。
高畠コーチの印象は、眼光鋭い、ギョロっとした目のあの顔だ。
飯田選手の素質を見出し、広沢、池山、角選手のバッティングを大きくアップさせた。
しかし、一年間でヤクルトを去った。

高校時代から好打者として活躍、社会人野球丸善石油に入団するも一年で休部、
中央大学、日鉱日立、社会人三大大会に出場に打ちまくり、南海(ドラフト5位)に入団する。



アマ全日本の4番打者として期待された。オープン戦でケガ(左肩脱臼)をしてしまう。
首脳陣の期待が高くムリをして試合に出場する。
多分、今のプロ野球では考えられないことだろう。
当時はトレーナーなんてあってないようなもの、まして新人の身でケガのことなんて言えない。
守備はムリだったが、野村監督にバット一本で稼げとアドバイス、
バット一本の代打で勝負をする。
現役生活5年 258試合 263. ホームラン8本

野村監督の下、28歳で打撃コーチとなる。

それからコーチ一筋30年。
単なる打撃コーチではなく戦略コーチとして頭角を現す。
選手個々の個性、技術、力量を見抜き熱心に指導し、次々と好打者を育てていく。
ロッテで、西村、高沢(首位打者)水上選手を育てる。中でも水上選手の話は、
興味深いものだった。
守備固め、ピンチランナーだけの選手だったが、高畠コーチと出会ってから一変する。
高畠コーチのアドバイスが当る“高畠教信者”となっていった。

≪真っ直ぐを狙った時には、一球で仕留めるつもりで練習しなさい。カーブ打ちの練習でも、カーブを要求して、それを打つ準備をし、一球でそのカーブを仕留める練習をしなさい≫

何でもかんでもバットを振っていた水上選手は、ヤマを張ることを教えられ、それでいいんだと
肩から力が抜けた。
高畠コーチは、クセを見抜く天才だった。 高畠コーチの眼は普通のコーチには太刀打ち出来るものではない。ピッチャーが投げる時の、ユニホームのシワ、手首の腱の微妙な変化を
見逃さず、咄嗟に判断する。緻密な戦略、クセを盗む、相手の心理を読んでいった。

しかし、50歳半ばで、コーチをしながら教職免許を取る為に勉強をする。
なぜ?教師の道に進んだのか。普通に考えるとコーチ業は実績から引手あまた。
年齢のことを考えると、新しい世界に進むことは余ほどの覚悟をしなければ
ならなかったと思う。

練習し、技術、体力を向上させても、最終的には“心”だ。
バッティング技術を極めても、心理的に圧迫されたら、チャンスに打つことは出来ない。
ピッチャーも追込まれたら、いいコースを突くことは難しくなっていく。
心理面やカウンセリング等に、関心を持つようになっていった。選手の指導のための
心理学の勉強がやがて教育へと移っていったのだ。

そして「甲子園を目指す」高校教師となるが・・・、教師生活は僅か一年だった。

あの時、巨人に入団(巨人にドラフト5位で指名)していたら、あの時、ケガをしなければ・・と、
この本を読んだ私は思ってしまうけれど、高畠コーチはそんなこと思いもしなかったのだろう。
どんなことにも“気力”で挑んだ、高畠コーチ。

野球が好きな私には、興味深い内容が多くあった。
S40年から50年の諜報野球。サインをむ盗むためにこんなことまで?
スパイ大作戦が繰り広げられていた。ベンチに盗聴器まで仕掛けるとは・・・

≪覚悟に勝る決断なし≫好んで書いた言葉。
by nonki27 | 2008-09-06 17:07 | よむ
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